大阪市港区西明寺 住職のひとりごと2
2019/06/23
最近、親子関係を巡っての事件がニュースを賑わせたり、親の懲戒権について議論されたりしています。
親子関係でいくつか思うことがあります。
一つ目は、親子は入れ替え可能な関係ではない、ということ。これは、親と子は対等ではない、一方的な関係であるという意味です。一般的な人間関係と違って、お互い様にはならないこと、影響を与える与えられるの関係がほぼ一方通行であることを意味します。
二つ目は、親は子を無条件に肯定することが求められる、ということ。これに対する条件付き肯定とは、親の言うことをよく聞くから認める、頑張って表彰されたから認める、親の期待に応えたから誉める、などを言います。親は、無条件に子どもの存在そのものを肯定していくことが求められます。条件付き肯定が全面的に悪いとは言えませんが、頑張らなければ認められない、よい結果を残さなければ肯定されないと子どもに思わせることは子どもの心の健康に影を落とすことになります。
三つ目は、親の正論や「べき論」は子どもの成長の妨げにしかならない、ということ。親には親の思いがありますが、あくまで親自身の思いでしかありません。親の価値観を押し付けることは子どもにとっては重荷でしかありません。
親も不完全な人間です。我欲・自己中心性からなかなか自由にはなれませんが、そこに居直ることなく、理想通りの親でなくて申し訳ない、と慚愧の心で、少しでも子どもの心に寄り添うことが求められます。