大阪市港区西明寺 住職のひとりごと3
2019/07/06
昨夜は私の所属している大阪市内のお寺のグループが主催する講座があり、落語家の三代目桂春蝶師の創作落語を聴きました。
太平洋戦争末期の沖縄戦でのひめゆり学徒隊員と看護婦長にまつわるお噺で、春蝶さんは、ひとりひとりの持ついのちの意味、ありがたみ、ぬくもりを落語で表現されます。
落語の前段のフリートークで、子どものころ、父である二代目桂春蝶さんとその友人でありライバルであった桂枝雀さんの生き方、死に方から「いのち」について考えることがあったが、長じて落語家となり落語によって自分の思いを表現できるようになってきてようやく、子どものころのその種が芽生え、育ってきた、と語っておられたのが印象的でした。思いを表現したり形にしたりするには、時間と修練が必要で、一朝一夕にはいきませんが、心の底にしっかりとあるものは時機がくれば花と咲くものです。
生きたくても生きられなかった人と生きたくても生きづらい人をつなぐ、そういうお噺でした。